本年第2号、通算14号がやっと完成し、発行日を5月1日としたところです。 この5月1日というのは、実は今から3年前、すなわち1992年5月1日、「あ すてろいど」第1号を発刊した記念すべき日であります。全体で6ページ、発行部 数30という、ごく内輪の研究会の、ささやかなニュースレターでした。3年後の 現在、本号のページ数18、発行部数1000という発展を遂げるに至りました が、当時は夢にも考えられないことでした。多くの方々の協力のたまものと考えて います。
3年前、編集室は松島弘一、斉藤潤、関森節子という3人のメンバーでスタート しました。しかし昨年6月、関森さんが結婚されて研究所を辞められ、この4月か らは斉藤さんが何と西松建設技術研究所に移ることになりました。我が研究室で許 容できるペイロードの限界をはるかに越えてしまったからでしょうか。もちろん体 重や容積のことを言っているのではありません。肥大?したのは知性と教養であり ます。しかしこれは「あすてろいど」にとっては編集室から出版室に移動するだけ のこと、ポテンシャルエネルギーが運動エネルギーに変わったようなもので、エネ ルギー保存則が成り立つ限り大きな変動ではありません。しかしそうはいっても、 一人残った編集室員の寂しさはひとしお、出せるだけのカラ元気を精一杯に出し て、実をいうと出版室の全面的バックアップのもとに頑張っています。また出版室 の秋山さんは実は前から参加しておられて、名前を出すのが遅れてしまったという 次第です。編集室、出版室共々今後ともよろしくお願いいたします。
講座「小惑星とは何か」では太陽を回る小惑星の流れを川にたとえて、コン ピュータによるきれいな図を見せて頂きました。七夕の日にだけ会うという彦星と 織姫の話は昔から聞いていますが、二つの星はいつも川を挟んで両岸で対峙してお り、同じ側にいたことは見たことがありません。小惑星の天の川ならいつの日か人 間が渡る時も来ることでしょう。
「あすてろいどエッセイ」は前号に続いて春山さん原稿の後半をお送りしまた。 春山さんはこの3月から約1年の予定でカリフォルニア工科大学に滞在しておられ ます。宇宙船による惑星探査に大変な情熱を持っておられるので、アメリカでどん な感想を持たれたか、ぜひ聞かして頂こうと考えています。
「あすてろいどスペシャル」では地球に接近する小惑星のモニターを中心に磯部 さんに書いて頂きました。磯部さんはIAUの近地球小惑星ワーキンググループの メンバーとしても活躍されておりますが、国内でも大変熱心に望遠鏡の有効利用と 特異小惑星監視網構築を目指して頑張っておられます。「小惑星衝突に関する研究 会」においても、筆者などいつも尻を叩かれております。なおこの研究会の前回の 議事録を掲載しましたが、この研究会はどなたでも出席できますので、興味をお持 ちの方は「あすてろいど編集室」までお問い合わせ下さい。
「あすてろいどフォトサロン」ははじめての登場です。難しい記事?が続いたと ころでのコーヒーブレークというところですが、これからも楽しい写真を紹介させ て頂きたいと考えています。
「あすてろいどノート」では月の詳細な全面サーベイに成功した探査機クレメン タインの観測器について輿石さんに紹介して頂きました。内容が少し専門的で難し かったかもしれません。これらの観測器が軍事目的で開発されたものであるとして も、特にその小型軽量さは信じられない程です。長年各種のセンサーを研究されて きた輿石さんにとっても、それは驚異だそうです。
最後に「お知らせ」で紹介いたしましたが、長谷川一郎、大西道一の両氏が努力 されておられる特異小惑星のデータベースを、あすてろいど編集室を通して希望さ れる方に提供させて頂くことになりました。その内容については前号の「あすてろ いどスペシャル」で大西さんが紹介されています。たえずバージョンアップされて いる貴重なデータベースですので、有効に使って頂ければと思います。(写真は ウィーン、シェーンブルン宮殿で:K.M)