暖冬の今年は桜の開花も例年より早く、編集室の窓から満開の桜を見ながら編集の仕上げをしています。航技研の桜は見事なもので花見時期の週末には一般に公開されます。この「あすてろいど」(通算18号)が印刷されて皆様に届く頃は八重桜が満開になっていると思います。ところでこのところ米国においては小惑星やその衝突問題に関連した啓蒙書の発行が相次ぎ、また今年は天体の地球への衝突をテーマとした映画の封切りも予定されています。この問題への関心はなかなか高いようです。日本でもまもなくこの影響を受けることになるかも知れません。
 現在ヘールボップ彗星が大変な話題を呼んでいます。天気さえよければ東京でも西の空に肉眼で確認することができます。「今月のイメージ」では再び渡辺さんにお願いして撮影した写真を掲載させて頂きました。オリジナルは大変にきれいな写真なのですが、縮尺してこのような印刷をすると原図の迫力がお伝えできなくて残念です。一方、エッセイの方の標題に掲げた論文ですが、その内容を理解することは置いておくとして、この論文の最後、「これらの所見はそれ自身で生命存在に結びつくものではない。これらの現象を個々に取り上げると別の説明もできるが、総合的に考えると、特にそれらの相対的な存在の仕方から、火星初期の原始的生命の証拠と結論した」というフレーズは、裁判の判決のようにも感じられ、大変印象的です。
 吉川さんのフランス便りは今回多数の写真をお送り頂いたのですが、紙面の都合でその一部しか載せられませんでした。しかも編集室で勝手なトリミングやフォトショップでの画像修正、あるいは改悪?もしています。したがって写真に関する責任はすべて編集室が負います。この頁に掲げた「マントンのレモンの城」もその一つです。それは別として、だんだん夏が近づいてきました。次の号ではどのような写真が見られるのでしょうか、楽しみです。
 「あすてろいどエッセイ」では衆議院議員の船田さんに原稿を頂きました。お忙しい中を有り難うございました。一時は天文学者を志しておられたとのこと、数学が不得意であきらめられたのは残念でした。天文学を勉強していくと、数学もわかってきたということであったかも知れません。今後もよろしくお願いいたします。
 磯部さんの「NEOの月面からのモニタリング」は前号に続く第2回目として具体的に月に持っていく望遠鏡の話です。これは次号ではデータ解析センターの話につながっていきます。
 「あすてろいどレター」では宇宙空間からNEOを探索するという提案を歌島さんから頂きました。望遠鏡の軌道は二つともに太陽をまわる人工惑星の軌道とでも言うべきものになるわけで、一つは最初地球のそばにあり、だんだん離れていって、10年後には再び地球の近くに戻ってくるというものです。もう一方は地球を中心とした相対運動を考えると、あたかも望遠鏡が地球のまわりを長楕円を描いてまわるようになるものです。今回の報告では軌道の話が中心でしたが、実際にこのような軌道に望遠鏡を置くことでNEOのどのような探索が可能になるのか、、次の報告を楽しみにしたいと思います。
 「あすてろいどニュース」では吉川さんに最近発見された小惑星のトピックスを紹介して頂きました。これはもちろんフランスで書かれたものですが、ネットワークが発達した今日では距離感のようなものがまったくなくなります。
 最後に「あすてろいど広場」では会長の磯部さんからJSGAとしてどのようなことを、どのような体制で実行していくか、と言う最も重要な課題に対する提案をして頂きました。実はこの問題についてJSGAの運営委員会でもこれから議論しようとしているわけですが、会員の皆様にもぜひ考えて頂こうというわけです。JSGAの最大のミッションはNEOの観測ネットワークの整備、それを活用したNEOの探索、NEO及びそれに関連して予想される様々な物理現象の研究にあるわけですが、そのためにはまず活動のガイドラインを明確にする必要があります。ここに示されたのはその一つの提案ですが、この程度の目標は何とか実現したいという願望でもあると思います。皆様のご意見をぜひお聞きしたいと思います。もちろん何をするべきか、と同時にそれを行う組織や人をどうするかということも考えなければなりません。ご意見をFAXまたは電子メールで編集室までお寄せ下さい。
 最後に次号は7月中旬にに発行する予定です。上記の件に限らず、皆様からの投稿をお待ちしています。
 
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