編集室から 


 この冬、信州はオリンピックに沸き、記録的大雪に悩まされました。編集室がはじめて迎える信州の冬は、大変な大雪の洗礼を受けることになりました。例年であれば比較的雪の少ないこの周辺も、最も多いときで80cmに達する積雪となりました。地元の人にとってもこんな雪は今までに経験がないということでした。しかし身近で開かれるオリンピックとあって、私も何度か見物に出かけました。スキー競技など間近で見るのはもちろん初めてです。それは昔少しはたしなんだことのあるものとは全く異質のもので、本当に驚嘆しました。しかし雪の中での見物というのは冷えるし、急に吹雪きにもなるしで大変でした。ただ、どこの国の選手であろうと、ラッパとペットボトルにものを入れてガチャガチャ鳴らす盛大な声援は、寒さを吹き飛ばしてくれる楽しいものでした。

 さて今回の「あすてろいど」(通算22号)も記録的な増ページとなりました。掲載する原稿が多くなるということは、大変にうれしい悲鳴です。まず大きなニュースはNEO探索のための望遠鏡の建設されるということです。スペースデブリの観測と併用されるということですが、とにかく専用の望遠鏡ができるということは、NEO問題についての本格的な研究の足がかりができた、ということになることでしょう。実際の観測が始まるのは2、3年先になるわけですが、観測体制、データ処理と軌道管理、国内、及び国際的な連携など、その間に準備すべきことは山ほどあります。今後そのための研究会や集まりが多々開かれることになると思いますが、会員の方々の積極的な参加をお願いいたします。まずその1回目として、5月24日(日)、国立天文台で「どのような望遠鏡を作ったらよいか」というテーマで、研究会が開かれます(25ページ)。ぜひご参加下さい。

 David Asherさんは英国の出身で、ケンブリッジ、オックスフォード両大学で天文学を学ばれた後、オーストラリア、そして現在日本でNEOの観測と研究を進められています。日本はもちろんのこと、世界的にも非常に数の少ないこの分野の研究者の中で、今後の活躍を大いに期待されています。総会のときに行われた講演を原稿にまとめて頂き、それを吉川さんが翻訳されました。なお、JSGAホームページには原文も併せて掲載しておりますので、ご覧下さい。これから日本でも本格的なNEO観測をを行うことになれば、 Asherさんにも大いに協力頂けると期待しています。

 大変好評頂いた「ニース天文台の12ヶ月」がいよいよ今回で終わりとなります。いささか堅い記事が多くなりがちな「あすてろいど」にあって、大変ソフトで楽しい話題を提供して頂きました。大変残念ですが、ニース天文台はここまでとして、吉川さんには今後もシリーズで楽しい連載を続けて頂くことにしています。ご期待下さい。なお、吉川さんは昨年12月に帰国されましたが、この4月から文部省、宇宙科学研究所に移られました。年度末も重なり、大変に忙しい中で、この最終回と、最近話題となった小惑星1997 XF11についての解説、及び前述のAsherさんの原稿の翻訳を引き受けて頂きました。

 歌島さんのNEO観測のシミュレーションは今回で4回目になります。これはNEO探索を長期的に考える上で、大変貴重な資料となりました。一応これで終わりますが、今後も新しい研究成果がまとまりしだい、書いて頂きたいと思っています。

 古宇田さん、渡辺さんによる連載もいよいよ佳境に入ってきます。ただ古宇田さんの図面を鮮明にお伝えできなかったのではと心配しています。また江戸時代に作られた反射鏡がどうして錆びて曇らないのか、諏訪藩はこの望遠鏡の観測を何に使おうとしたのか、渡辺さんの今後の調査研究の進展に大いに期待しています。

                 (写真は白馬のジャンプ競技。 松島)


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