今月のイメージ
冥王星はやはり惑星! IAU(国際天文連合)は、去る2月3日、「太陽系第九惑星としての冥王星の位置づけに変更がない」旨の声明を発表した。 |
金星や木星は何故に惑星なのか? いつも決まった運行を続ける星空の中で、特異な動きをする幾つかの明るい星は、遠い昔から人々の関心を惹いてきた。「惑星(Planet)」という名前はギリシャ語の「放浪者」を起源としている。夜空で見られるその動きをは現在でも多くの人を惹きつける天体ショウとなっている。(写真:木星と金星の接近、1999年2月23日) 同じ運命が今度は冥王星に迫ってきたようである。実は1992年5月に発行された、この「あすてろいど」の第1号で、筆者は「冥王星は小惑星である?」と題する記事を書いている。その年の1月、土星の外側で天王星の軌道をまたぐという、遠大な軌道を持つ小惑星1992AD(5145)の発見にいたく刺激された結果であった。ところが同じ年の8月、今度は海王星より内側に入ることのない、平均長半径44.3AU、離心率が0.1より小さい軌道を持つ1992QB1が発見された。(これは1993年発行の「あすてろいど」第8号、今月のイメージで取り上げた)。カイパーベルト天体がいよいよ姿を見せてきたわけである。その後、冥王星近くにこの種の天体が次々と発見されて、1998年末現在でその数は何と84個にもなり、TNOs(Trans‐Neptunian Objects)とも呼ばれている。 しかしその経過は小惑星セレスと真によく似ている。ただ異なる点は、そのような事態に立ち至るまでの時間である。セレスと違って冥王星は太陽からも地球からもあまりに遠く、暗いさいはての地にあった。望遠鏡を通してもそう簡単に見透かされないところである。お陰で、約70年にわたって、惑星の地位に君臨できたというである。しかし、遂にその地位を降りるときが来た? それでは今後の身の振り方をどうしたものか。小惑星plutoとなるか、そのときはどういう番号を付けるのか、順序に従えば9893番とかなるのだろうが、それはどうもいい大人が小学一年生のクラスに編入されたみたいで座りが悪い。それではセレスを降ろして1番にすえるか。いやいやそんな酷いことをセレスにまたするわけにはいかない。それでは0番はどうだろう。あるいはTNOsを小惑星から分離してその1番にするのはどうだろう・・・と、余計な心配をしてしまう。 「IAU内の太陽系科学に関連するいかなるグループからも、冥王星に関して太陽系九番目の惑星としての位置づけ変更に関する提案は出されていない。 やれやれこれで当面、冥王星の惑星としての位置は確保されそうである。70年にわたってその地位にあったものを、そう簡単に降ろすわけにもいかないであろう。これまで蓄積してきた観測や他の科学分野との関係に影響があるかもしれない。 写真、上田城址公園で、 撮影 渡辺 文雄) |
26号の目次/あすてろいどHP