編集室から

 明けましておめでとうございます。日本スペースガード協会も一昨年の11月、NPO法人として認定を受けて、一年と少しが経過しました。その間、小惑星の観測業務を中心に、活動もようやく本格的になってきたところです。「研究助成金の公募」や、教育プログラムの一環として、ブリティッシュ・カウンシルおよび読売新聞社と共催する「アステロイド・キャッチャー B‐612」については本誌に掲載したとおりです。また、6月にはマダガスカルでの皆既日食ツアーも実施することになりました。さらに、今年は大きく飛躍すべく、いろいろと計画を検討しているところです。それらについては逐次、「あすてろいど」やホームページを通してお知らせする予定です。皆様の積極的な参加をお待ちしています。

 それから新年度を迎えて編集室のメンバーが少し変わりました。小島雅樹さん、布施哲治さんが辞められ、代わりに梅原広明さん、堀内節夫さんが加わりました。この「あすてろいど」は1992年5月に第1号を刊行していらい、約9年にわたって継続し、また発展してきました。途中、何度か挫折の危機に瀕したこともありましたが、その度に救ってくれたのが小島さんでした。あるときは財政的側面から、あるときは広範囲の読者層の開拓によって、意気地のない編集担当の筆者を鼓舞激励してくれました。「あすてろいど」が今日あるのは小島さんのお陰と言っても過言ではありません。長い間本当にありがとうございました。編集室は辞められても、今後もよろしくお願いいたします。また布施さんは、現在、ハワイのスバル望遠鏡の運用に従事されており、実質的な作業が難しいということです。また、作業が可能な状況になったときには、ぜひ復帰していただきたいと思っています。

 一方、新しく参加された梅原さん(通信総研)は、早速活発な活動を開始され、また堀内さん(NASDA)は広範囲の知識と経験に裏打ちされた卓見を常に示されます。お二人には大いなる期待を寄せている次第です。なお、編集室直属のライターである由紀聡平さん、南沢弥生さん、北沢のどかさん、それにイラストレータのJONAさんは、今年も頑張っていただけるということですので、よろしくお願いいたします。

 ところで、今回の「あすてろいど」も大変バラエティに富んで、楽しいものになったのではないかと、編集室一同、ほっとしています。そして記事の内容もさることながら、JSGAからのお知らせの内容も、NEOの発見あり、小惑星探索の教育プログラムあり、ツアーあり、研究助成金あり、と大変豊富になってきました。これから、さらにいろいろな活動や催し物も増えてくることになると思います。しかし、JSGAの活動は、会員の方の参加によって発展していくものです。皆様の積極的参加をお待ちしています。

 昨年夏、本当に久しぶりで奥入瀬から下北に旅行しました。十和田湖畔に立つ「おとめの像」(写真)とも再会できましたが、その名前のイメージとはかけ離れた、逞しい裸像にあらためて圧倒されました。作者の高村光太郎自身が、この像に寄せた詩の中で、「いさぎよい非情の金属が青くさびて、地上に割れてくずれるまで、この原始林の圧力に堪えて、立つなら幾千年も黙って立っていろ」とうたっています。何という激しさでしょう。これが「おとめ」に対して発する言葉かと疑りたくもなりますが、やはり明治生まれの人間の気骨とでも言うべきなのでしょうか。女性のみならず、男もすべからくスリムを目指し、世は上げてIT時代。見栄えは美しく、ますます便利になっていく反面、些細な自然の衝撃にもあっけなく崩壊しそうな危うい構造になりつつある現代にあって、大地にしっかりと足をつけた、この逞しい「おとめ」の姿は衝撃的ですらありました。21世紀のはじめに当たって、じっくり眺める価値があるのではないかと思った次第です。
                     (松 島)