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特集!地球に接近する小惑星 | ||
相次ぐ小惑星接近・衝突のニュース | ||
吉川 真(宇宙科学研究所) | ||
最近、小惑星の地球接近や衝突に関する話題が続いています。ここでは、その主なものについて、少し詳しく紹介したいと思います。
そもそも、このような話題が続く理由は、すでにこの「あすてろいど」でも何度も紹介されていますように、最近になって地球に接近しうる小惑星の発見個数が急激に増えているためです。その様子を図1に示します。この図は、前号の「あすてろいど」に掲載したものと同じものです。この図を見れば明らかなように、1998年から地球に接近する小惑星の発見個数が急激に増えています。これは、アメリカのリンカーン研究所のリニアプロジェクトが動き出したためです。
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38KB 図1 NEOの発見の推移 |
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棒グラフは、各月あたりのNEO(小惑星のみ)の発見の個数を示す。小惑星のデータは2002年6月末の時点でローエル天文台が公開していたものを用いた。この時点でのNEOの総数は1874個。 | ||
参考までに、2002年になってからの小惑星の地球接近の様子を表1にまとめてみました。この表は、国際天文学連合(IAU)のMinor Planet Center(MPC)のホームページ(http://cfa-www.harvard.edu/cfa/ps/mpc.html)に掲載されているデータより改編(2002年10月20日現在)したものです。小惑星が次々と接近していることがわかるかと思います。さらに、表2には、今までの小惑星のニアミスベスト10を掲載してみました。ベスト10の中に2002年の接近がすでに2つも入っていることが分かります。
では、最近話題になった3つの小惑星、2002 MN、2002 NT7、2002 NY40について紹介します。 |
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60KB 表1 2002年になってからの小惑星の地球接近 |
41KB 表2 小惑星のニアミスベスト10 |
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1 小惑星 2002 MN、地球に12万kmまで接近!
2002年6月14日、ちょうどサッカーのワールドカップの開催期間中のことですが、宇宙ではちょっとヒヤリとする事件が起こっていました。それは、直径100mほどの小惑星が、地球から約12万kmという距離のところを人知れず通過していったという「事件」です。この距離は、静止衛星がある高度(3万6千km)の3倍ちょっとという至近距離でした。
接近した小惑星は、2002 MNという仮符号が付いたもので、LINEAR プロジェクトによって、2002年6月17日に発見されたものです。この小惑星が最接近したのは 6/14ですから、最接近の後に発見されたことになります。つまり、事前には接近が分かっていなかったのです。接近の前に発見されなかった理由は、この小惑星が昼間の側から地球に接近したた めで 、事前には観測ができませんでした。最接近の後は夜側に移動しますから、観測されたわけです。
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