静止軌道上の巨大(約50m)活動衛星-2

磯部 しゅう三・橋本 就安(美星スペースガードセンター)



 カタログに出ていない巨大静止衛星として可能性があるのは、軍事偵察衛星である。そのような試みで公表されているものは、アメリカのもののみである。アメリカでは、1960年代からそのような衛星計画があり、明らかにされているものは表1のように年代順に各機関が多様な計画を持っている。その中で実際に打ち上げられたのは表2の通りである。この表に出てくる静止衛星がどの経度に打ち上げられているかは明らかにされていない。恐らく、これらの内の1つが今回、美星スペースガードセンターによって検出されたX000639に当たっているのではないだろうか。それらの軍事偵察衛星の発表されている概観図は図4,図5のようなもので、その大きさは40-50mにも及んでいる。驚かされることは、このような巨大で、しかも静止軌道においても明るく、アマチュア天体観測家でも楽々見つけることができるものが、誰にも見つからずに来たことである。

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図4 公表されているアメリカの軍事衛星(その1) 図5 公表されているアメリカの軍事衛星(その2)

美星スペースガードセンターでは今回、偶然見つけたが、本来の美星スペースガードセンターにおける掃天観測が始まれば、直径40-50cm以上のものは全て捕捉されるので、その完了後は、このような人工衛星が秘密の状態で飛んでいることはなくなることになる。そのような意味でも、美星スペースガードセンターでの活躍が期待される。そして、望遠鏡システムを完全なレベルにまで持っていき、直径20cmサイズの静止軌道デブリを全て検出して、カタログ化することを目標としたい。
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